医学博士
稲次潤子先生

千葉大学医学部卒業。米国にてケネス・H・クーパー博士のもとでエアロビクス理論、予防医学の基礎を学ぶ。専門分野は予防医学、スポーツ医学等。藤沢市保健医療センターで医師として、生活習慣病の予防・改善、体力の増進・維持等の支援を行う。日本内科学会認定内科医・日本医師会認定健康スポーツ医。

暑い季節は、代謝能力が低下しがちな季節

 今年も暑い季節が近づいてきました。すでに夏日並みの気温まで上昇している日もあります。暑くなると汗をかきやすくなりますので、何となくやせた気になる人もいるのではないでしょうか。でも実は、暑い時季は代謝が落ち、脂肪が貯まりやすい一面があります。
 寒い時季は、寒さから体を守るために皮下脂肪を貯めやすいといわれますが、体温を維持するためにエネルギーを消費しています。逆に気温が高いければ、がんばらなくても体温を容易に維持できるため、それほどエネルギーを消費する必要がありません。つまり、暑い時季は、少ないエネルギーで体の恒常性を維持できることから、基礎代謝が低下しがちなのです。
また現代の生活では、エアコン等で暑い夏でも室内は涼しく快適に過ごせるように設定することが可能ですが、、外気温が高くなるほど寒暖差が大きくなることで自律神経の働きが乱れやすくなります。この温度差がストレスになると交感神経の緊張が高まり、消化機能が低下する要因になります。そして、消化機能が低下すると消費エネルギーも低下し、代謝の効率も悪くなります。

間違った食生活が夏の肥満を助長

 暑い季節は、暑さに負けないようにと元気がでそうなものを摂取しがちです。特に食欲が衰えがちになってくると、食事量が減ることから、カロリーの高そうなものをがんばって食べようとする傾向があります。体力を維持するための心がけ自体は悪くないのですが、暑さで代謝能力が低下しているとエネルギーを消費できずに、摂取したものを脂肪として蓄積しやすくなるのです。
 また、暑いことから、冷たい麺類やアイスクリームを食べることが増えたり、冷たいビールをがぶ飲みしたり等、思いのほか糖質を摂取する機会が多くなります。すると、糖質を代謝することが優先となり、脂肪の代謝が追いつかなくなります。また、冷たい食事や飲料によって内臓も冷がちになることで、消化器官の血流が悪くなり消化機能が低下し、消費エネルギーが低下する一因にもなるのです。
 つまり、暑い季節にありがちな食生活は、夏の肥満を助長することにつながります。

夏こそ代謝アップを意識した生活を

 夏の代謝アップにはまず、食生活を見直してみましょう。
 夏でも、冷たいものを食べ過ぎずに、温かいものをきちんと食べることは基本です。そこに、代謝アップにつながる香辛料、例えば唐辛子やしょうが等を使うものがおすすめです。
また、少量でもカロリーの高いものではなく、バランスのとれた食事を心がけることも大切です。特に、食欲がないからといって、食事機会を減らすよりも、少しずつでも1日3食きちんと食べることも大切です。
夏にカレーというのは、好例でしょう。温かい食事であるだけでなく、香辛料が代謝をアップしてくれますし、肉や野菜もバランスよく摂ることができます。特にカレーの辛み成分である唐辛子に含まれる〝カプサイシン〟は、基礎代謝を高める効果が期待されています。
代謝アップのためには運動も欠かせませんが、暑い季節の激しい運動は熱中症のリスクも高まります。ですので、無理のない範囲で、朝や夕方の涼しい時間に、ウォーキングやジョギング等の軽い運動を心がけるようにしましょう。
油断すると代謝が低下しがちなこれからの暑い季節。代謝アップを意識した生活習慣で、脂肪を貯めこまないようにしましょう。

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