−2006年北米肥満学会で発表−

京都大学大学院農学研究科の伏木教授を中心としたグループは、カプシエイト類のエネルギー消費量と脂質酸化量の増加が消化管のTRPV1を介して起こることを確認いたしました。その研究成果を2006年北米肥満学会(2006年10月20日−24日、ボストン)で発表しました。

※1カプシエイト類とは
京都大学大学院農学研究科の矢澤教授により自殖選抜された辛くないトウガラシ中に含まれる成分の総称。トウガラシの辛味成分であるカプサイシンと類似の構造を持つが、辛味はほとんど感じられない。その一方、カプサイシンと同様に、エネルギー消費量増加、体脂肪低減、体重減少作用などの生理機能があることが報告されています。

※2TRPV1とは、
カプサイシン受容体とも呼ばれます。知覚神経や迷走神経の末端に存在する受容体の1種で、熱や酸、そしてカプサイシンを受容します。受容された刺激は、脳へと伝えられ、「熱い」「痛い」「辛い」等と認識されることから、痛みや辛味を認識する受容体として知られています。

発表骨子は、以下のとおりです。

▼発表演題

2006年北米肥満学会。
Non-pungent capsinoids increased metabolic rate and promote fat oxidation via the gastrointestinal TRPV1 in mice.
Fuminori
Kawabata 1), Makoto Tominaga 2), Tohru Fushiki 1)
1) Div. of Food Science and Biotechnology, Graduate School of Agriculture, Kyoto University. 2) National Institute of Natural Science

<研究の背景>
カプシエイト類はカプサイシン類と同様に、エネルギー消費を増加することが、動物とヒトを用いた研究から明らかとなっており、肥満の予防と改善に有用であることが期待されています。本研究によって、カプシエイト類の長期投与によってエネルギー消費が増加することを明らかにしました。また、カプシエイト類を正常のマウスとTRPV1が存在しないマウスの空腸※3に投与し、体熱産生を調べることにより、カプシエイト類のエネルギー消費増加作用のメカニズムを明らかにしました。

※3空腸とは、食べたものを消化吸収する小腸の一部。小腸は、胃の方から、十二指腸・空腸・回腸と分けられる。

<実験方法>
正常なマウスにカプシエイト類を、体重1kgあたり10mgの用量で2週間投与し、エネルギー代謝を呼気ガス分析により測定しました。同時に、UCP遺伝子の発現についても調べました。また、カプシエイト類の作用メカニズムを解明する目的で、正常なマウスと、TRPV1が存在しないマウスの空腸にカプシエイト類を投与し、体温・エネルギー代謝量を測定しました。

<試験結果>
2週間、カプシエイト類を正常なマウスに投与することによって、エネルギー消費の増加が実験期間中を通じて認められ(図1)、体重と体脂肪の有意な減少がみられました。褐色脂肪組織中のUCP1タンパク質とmRNA、白色脂肪組織中のUCP2mRNAの量の上昇も認められました。血清中の甲状腺ホルモンの値には影響を与えませんでした。また、カプシエイト類を空腸に投与すると、正常なマウスでは、体温の上昇・エネルギー消費の増加が認められましたが、TRPV1が存在しないマウスでは、認められませんでした(図2)。投与されたカプシエイト類が、血中で検出されなかったので、カプシエイト類の作用は消化管にあるTRPV1を介して起こると考えられます。

<結論>
カプシエイト類の長期投与によってエネルギー消費量と脂質酸化量の増加が起こることが明らかとなり、そして、それが消化管内のTRPV1を介して起こることがわかりました。

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