−第23回 日本香辛料研究会にて発表−

京都大学大学院農学研究科の伏木教授を中心としたグループは、ヒトにおいてカプセル・溶液の両形態でのカプシエイト類摂取により、体深部温や上半身末梢温の低下を抑制することを確認しました。その研究成果を第23回香辛料研究会(2008年11月14−15日、金沢)で発表しました。

◆カプシエイト類とは、
京都大学大学院農学研究科の矢澤教授により自殖選抜された、辛くないトウガラシ中に含まれる成分の総称です(単にカプシエイトと表記する場合もあります)。
トウガラシの辛味成分であるカプサイシンと類似の構造、生理活性をもつが、辛味は約1/1000と著しく低いのが特徴です。

発表骨子は、以下の通りです。

【発表演題】カプシエイトの口腔内での作用がヒトの体温及び温熱感覚に及ぼす影響
【発表者】森村あかね 松村成暢 伏木亨
(京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学専攻 栄養化学分野)

<背景>
食品の中には、伝統的に体を温めるものがあると言われてきており、実際、それらの食品のいくつかは摂取によりヒトの体温を上昇させることが明らかとなっています。一方、体を温めると言われているトウガラシやショウガ、桂皮は、そのままの形態と呈味性のないカプセル形態での摂取で体温変化に与える影響が異なっていることが明らかとなっているため、体温変化を起こす食品の口腔内での作用が体温変化に影響している可能性が考えられました。
今までに、無辛味トウガラシCH-19甘1)から抽出されるカプシエイト類はカプセル摂取によりヒトの体深部温を上昇させることが明らかとなっており、そこで、本実験ではカプシエイト類をカプセル形態と溶液形態で摂取して頂き、口腔内での作用が体温や温熱感覚に影響を与えるか明らかにすることを目的と致しました。

<方法>
健康な男女(非喫煙者)被験者としました。被験者は前日深夜12時以降の食事、当日8時以降の水分摂取を禁止された状態で実験に参加して頂きました。被験者にカプシエイト類を含んだ溶液(カプシエイト溶液)、カプシエイト類を含んだカプセル(カプシエイトカプセル)、もしくは水を摂取してもらい、7カ所の体表面温(左頬・手首・中指・腹部・太もも・ふくらはぎ・足の甲)を測定しました。また、嚥下カプセル式テレメトリー体温計と鼓膜式反射赤外線体温計を用いて体深部温と鼓膜温を測定しました。温熱感覚は主観評価で行い被験者には10cm-Visual Analogue Scale (VAS)により体の各部位の温熱感覚を評価して頂きました。

<結果>
指の温度はカプシエイト溶液摂取時に水摂取時と比較して高くなる傾向を示しました(図左)。手首の温度はカプシエイト溶液摂取時、カプシエイトカプセル摂取時に水摂取時と比べて有意に高い値を示しました(図右)。
温熱感覚の主観評価では、体の温かさではカプシエイト溶液摂取後25分の値が上昇する傾向を示しました。手の温かさは水摂取後25分の値が低下する傾向が見られた。胃内の温かさはカプシエイトカプセル摂取後25分に上昇する傾向を示しました。

<まとめ>
これらの実験結果よりカプセル・溶液両形態でのカプシエイト類の摂取により、体深部温や上半身末梢温の低下を抑制することが明らかとなりました。そして、溶液形態でのカプシエイト類摂取により上半身末梢温の低下をより強力に抑制し、「温かい」という感覚を生むことが明らかとなりました。

1)CH19甘
1989年、京都大学大学院農学研究科の矢澤教授により、辛いトウガラシの一種「CH19」より自殖選抜された辛くないトウガラシ。有効成分としてカプシエイト類を含みます。 カプシノイドはカプサイシンと同様、エネルギー消費量増加、体脂肪低減、体重減少作用などの生理機能が報告されています。

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