-Sleep and Biological Rhythmsに報告-

味の素(株)健康基盤研究所(所長:高橋迪雄、神奈川県川崎市川崎区)と東京慈恵会医科大学精神医学講座(東京港区)・山寺医師は、睡眠に問題を抱えている人が就寝直前にグリシンを摂取すると、翌朝にまで残っていた疲労感が軽減され、爽快感が増すなど、主観的な睡眠感の改善に効果があることを発見し、Sleep and Biological Rhythms誌(2006, Volume4)に報告しました。

●グリシンとは
自然界に存在するアミノ酸で、生体内で合成することができる非必須アミノ酸のひとつです。ホタテ、えびなど天然の食品にも多く含まれています。タンパク質の構成成分となっていることはもちろんですが、神経伝達物質のひとつとしても知られています。

<研究の背景>
あるアミノ酸のボランティア試験のプラセボとしてグリシンを用いた時、試験参加者の内の1人が、目覚めた時の気分が良いことに気づきました。これは予期せぬ発見でしたが、複数の試験参加者から同様な感想が寄せられたので、グリシンのこの効果を科学的に検討しました。

<方法>
女性19名を対象として、医薬品の効果を検討する際に用いられる二重盲検無作為化交差試験法により、グリシン3g摂取による寝覚め感(主観的な睡眠感)を検討しました。即ち試験参加者は或る週の月曜日から木曜日まで就寝前にグリシン3gまたはプラセボを摂取、金曜日から日曜日まではウォッシュアウト期間※1とし、続く月曜日から木曜日はもう一方のサンプルを摂取しました。主観的な睡眠感への効果はセントマリー病院睡眠調査票及びSAM(Spaceaeromedicine) 疲労度チェックリストを用いました。前者は、睡眠深度、中途覚醒度、熟眠感、睡眠の満足感、起床時の爽快感、就眠困難度、早期覚醒の有無などについて、例えば 「昨夜はどれくらいよく眠れましたか?」という項目については、「1大変悪かった、 2悪かった、・・・5よかった、6大変よかった」のような選択肢から数字をひとつ選ぶことで回答し、後者は「とてもいきいきしている」「非常に疲れている」等の10項目について、「1非常にそう思う、2そう思う、3そうは思わない」という選択肢からひとつの数字を選ぶことで回答するものです。
※1 それまで使っていた被験サンプルによる影響を除くための、被験サンプルを何も摂取しない期間のこと。

<結果>
本試験には総計19名が試験参加の登録をしましたが、そのうち試験プロトコ−ルの要求を満たした15名の試験参加者によってグリシンの有効性が評価されました。
統計学的な分析の結果、プラセボ投与時に対してグリシン投与はSAM疲労度チェックリストの総得点(10項目の得点の和)で有意な改善効果を示しました(図1)。また個別の項目については、「とてもいきいきしている」や、「はつらつとした気分である」において有意な改善効果が観察されました。尚、セントマリー病院睡眠質問票では、 「今朝起床した後、どのくらい頭がすっきりしていましたか?」という設問への回答についてのみ有意な改善効果が観察されました(図2)。

<結論>
就寝時に摂取したグリシン3gが翌朝の疲労度を改善し、爽快感のある寝覚めを促す可能性が見いだされました。

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