ロコモティブシンドロームとは

 ここ数年で、〝メタボリックシンドローム(メタボ)〟への意識は、生活習慣病を予防するうえでも高まってきました。これに対して最近、〝ロコモティブシンドローム(ロコモ)〟という考え方が登場しました。
 ロコモティブシンドロームとは、運動機能症候群を意味します。メタボ=代謝症候群は、内臓脂肪型肥満による病気へのリスクに着目したものですが、ロコモは、骨・関節・筋肉等の運動器の衰えにより、日常生活での自立度が低下し、寝たきりになる等、要介護であったり、要介護になる危険性が高い状態のことです。
 60年前の人間の寿命から考えると、私たちのカラダは50年の耐久性があれば大丈夫でした。ところが寿命が延びて、長寿社会となった今、80年~100年もの間、体を使い続けなければなりません。ヒトの体の筋肉や骨は、ある程度の運動により使っていないと維持できないものなのですが、加齢で体を動かすことがおっくうになったり、生活文明が進み、便利になったことで、日常生活の中で体を使うことも自然と減少しているのです。そんな中で、体を動かせなくなっても、歳だけは重ねていく〝寝たきり高齢者〟が増えてきています。
 QOL(生活の質)を考えれば、寝たきりにならずに長寿を全うするのが一番。QOLの高い人生を送るには、ロコモ予防の意識を高めることが大切になってきます。

女性は40代から高まるロコモの危険性

 40歳以上、とりわけ女性は、ほぼ全員ロコモ予備軍と言っても過言ではありません。
 もともと女性は、男性に比べ体重が少ないため、運動器にかかる負担が少なくなっています。加えて、更年期や閉経によってエストロゲン(女性ホルモン)が減少することで、ひざ関節が変形する等、運動器の衰退が起こったりもします。また、全自動洗濯機や掃除機等、家電製品の発達で家事労働が減ったり、エレベーターやバリアフリーが備わった生活環境で、日常的な運動(体を動かすこと)の耐用性も失われているのです。こうした〝社会が作る運動不足〟によって運動器の働きが衰えるため、体を動かすことの痛みや辛さが生じると、今度は自分自身ができることに制約を設けてしまいます。この悪循環が積み重なると、将来的には要介護な生活を送るリスクが高まってくるのです。
 これを予防するには、40~50代の時期に、意識的に〝体を動かす〟ことがポイントになってくるのです。日常生活の中で運動が単純化されてしまうと、例えば筋肉の組織の中でも〝休んでいるもの〟が生じます。反対に、動きがより活動的になれば、すべての組織が協力しながら、その動きをサポートするようになるのです。

生活の中の動きを工夫し、ロコモ予防を

 ロコモを予防するためには、多様な動きを取り入れることが必要となります。でもそれは、特別なことではありません。日常生活の中で、少しばかり動きに意識を傾けることがポイントです。
 例えば、歩くときには「地面をしっかりけることを意識する」「坂道や階段をのぼる」。高いところのものを取るときには「つま先立ちして、手を伸ばして取る」。電車で座っているときなら「背中はつけずに、できれば足を床から離して座る」等、誰にでもできる小さなことです。日中は仕事をしているという人でも、仕事の合間に伸びをしてみるだけで、体の動きに多様性が生まれてくるのです。
 寒くなるこの時季は、どうしても体を動かすことがおっくうになってきますが、こたつから出るときでも、手をつかずに立ち上がるように意識すれば、十分な運動になります。運動の多様性を身につけることで、柔軟性や反射力も高まり、すべりやすい冬場の路面で、万が一、転びそうになっても、うまく立て直す能力が発揮できるのです。体を多彩に動かすことで、免疫力も高まりますから、風邪の予防にも役立つかもしれません。
 ぜひ、この機会に日常生活での自分の動きを振り返って、運動機能の低下を防ぎましょう。

「いきいき通信」vol.66より転載

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