望月理恵子先生

管理栄養士。山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養競技会評議員、ダイエット指導士、サプリメント・ビタミンアドバイザー等を務めながら、愛用・美容学の分野で、雑誌・テレビ等のメディア等も活躍。健康の雑学を学べる健康検定協会を運営。著書に「健康管理をする人が必ず知っておきたい 栄養学の○と×」等。女性の健康と美をサポートする株式会社Luce代表取締役。

ロコモ予防に必要な栄養分を意識して摂取することが大切

 最近、ロコモ(ロコモティブシンドローム=運動器症候群)という言葉をよく耳にするようになりました。ロコモとは、運動器の障害によって移動機能等が低下するもので、将来、寝たきり等、要介護のリスクが高まります。
 ロコモ予防で大切なことは、運動器を構成する筋肉や骨の機能低下を防ぐことです。そのために、筋肉の素になる「たんぱく質」と骨を作る「カルシウム」の摂取は、日々の食生活の基本として欠かせません。常に年齢に応じたカロリーやさまざまな栄養素を過不足なく摂取できる〝バランスのとれた食生活〟を実践できれば、自然とロコモ予防に大切とされる栄養分も日々補給されるのですが、食習慣や嗜好、ライフステージの変化等でなかなか理想通りにはいかないのが現状です。
 若い女性がダイエットで極端に食事量を減らしたり、野菜に偏った食事を摂ったりすれば、ロコモ予備軍になるリスクが高くなりますし、加齢に伴い食事の摂取量が低下したり、消化吸収機能が衰えれば、こうした必要な栄養分を十分に摂ることがむずかしくなり、ロコモに陥ることも考えられます。
 ロコモ予防で、「たんぱく質」や「カルシウム」の積極的な摂取を日頃から意識することがよくいわれているのは、それぞれの生活スタイルの中で、ともすれば必要とする栄養分が不足しがちになる機会が誰にでも訪れる可能性があるからなのです。こうした食生活の中では、もちろん運動器を司る筋肉や骨の素となる栄養を摂ることは大切ですが、限られた食生活の中で効率よく摂取できる工夫を意識することも1つの手段です。

「たんぱく質」の効率のよい摂取には、併せて「ビタミンB6」の摂取を

 筋肉の素となる「たんぱく質」を効率よく摂取するためには、「ビタミンB6」の働きが挙げられます。
 「ビタミンB6」は、「たんぱく質」が体内で分解し、必要な栄養分として合成されるのを促進するために役立ちます。例えば、「たんぱく質」食材でも、牛・豚・鶏のレバー、鶏ささみ肉、まぐろやかつお等赤身の魚等には「ビタミンB6」が多く含まれています。またそ、の他の食材としては、にんにくや唐辛子に多く、穀類や種子にも含まれているものです。ですから、レバーをにんにくと一緒にソテーしたり、〝かつおのたたき〟ににんにくの薬味を添えたりするのは「たんぱく質」の効率のよい摂取としての好例です。
 「たんぱく質」を摂取できる食品は、肉や魚だけでなく、卵や乳製品、大豆製品等さまざまですが、、一般的には、肉・魚に含まれる「動物性たんぱく質」の多くが、「植物性たんぱく質」より吸収効率が高いといわれています。太り気味の方の中には意識して「動物性たんぱく質」の摂取を控えている方もいるかと思いますが、カロリーの低い鶏ささみ肉や胸肉、豚や牛のひれ肉等、〝高たんぱく・低カロリー〟の食材で工夫する等で、「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」を、主菜と副菜の組み合わせでバランスよく摂るように心がけましょう。

「カルシウム」は、「ビタミンD」「ビタミンK」と併せて吸収力アップ

 ご存じのように「カルシウム」は、骨の形成には欠かせません。〝骨そしょう症〟になるのは、古い骨が新しい骨に生まれ変わる時に、原料となる「カルシウム」が不足しているためです。また「たんぱく質」も骨を作るために必要な栄養素です。
 「カルシウム」を多く含む食品は、牛乳やチーズ等乳製品や小魚、ひじき等の海藻、かぶや大根の葉、モロヘイヤ等の青菜、あぶら揚げ等の大豆製品が挙げられます。こうした食材に含まれる「カルシウム」の吸収を高めて、骨への沈着を助けてくれる栄養素が、さけやいわし等の魚や、乾燥きくらげ・干ししいたけ等のきのこ類に含まれる「ビタミンD」です。例えば、〝さけのチーズ焼き〟などは、「カルシウム」の効率よい摂取には理想的なメニュー例だといえます。
 また、納豆や、モロヘイヤ・小松菜・ほうれん草等の青菜に多く含まれる「ビタミンK」は、骨の形成や維持に欠かせないものです。〝ほうれん草のグラタン〟などは、理にかなったメニューのひとつです。
 丈夫な骨を維持するためには、「カルシウム」の摂取だけを意識するのではなく、他の食材と組み合わせて、効率よく吸収できる食事の工夫を心がけてください。

適度な運動を習慣づけることも筋肉や骨の健康には大切

 筋肉や骨の素となる栄養分を十分に摂取していても、ロコモ予防としては十分ではありません。筋肉や骨の衰えを防ぐためには、運動で適度な刺激を与えることも必要です。例えば、食事で十分な栄養はまかなえているのに、加齢に伴い足腰の衰えを感じるのは、ライフステージの変化等で活動量が低下し、運動不足になっていることも一因です。ですから、「たんぱく質」や「カルシウム」の摂取を心がけるだけでなく、ストレッチやウォーキング等、無理のない範囲で適度な運動を習慣づけることも、ロコモ予防には大切なことです。
 運動を習慣づけることは、肥満防止にも役立ちます。加齢に伴い基礎代謝量も低下しますので、中年期以降はどうしても太りやすくなりがちです。肥満はメタボの注意信号なだけでなく、肥満によって運動器に負担がかかることはロコモの一因になります。かといって、痩せすぎてしまい筋肉量が低下し、骨が弱くなってしまってはロコモの予防にはなりません。
 
 ぜひ、必要な栄養をバランスよく摂りながら運動も心がけ、ロコモを予防して、いつまでも元気に過ごしましょう。

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