医学博士
土肥 眞先生

名古屋大学医学部卒業。国立国際医療センター内科・呼吸器科で研修後、東京大学物療内科入局。同大学大学院修了。日本学術振興会特別研究員を経て、米国に留学後、東京大学大学院医学系研究科講師、東京大学医学部付属病院アレルギーリウマチ科副院長。2013年、渋谷内科呼吸器アレルギークリニック・呼吸免疫研究所を設立。

花粉症って、どうして起こるのでしょう?

 毎年2月に入るとスギの開花に伴い、花粉の飛散が始まります。そして、3月になるとヒノキの開花が始まります。冬から春に移り変わる頃から5月頃までは、花粉の飛散状況に伴い、くしゃみや鼻水、鼻づまり、あるいは目のかゆみ等、花粉症の症状に悩まされる方が多く見受けられます。今では日本人の約20%が花粉症だといわれていますが、これは花粉がアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン=抗原)となって起こるアレルギー症状の一種です。
 花粉は鼻・目・口などから侵入します。体内のリンパ球がそれを異物として認識すると、IgE抗体とよばれるたんぱく質を作ります。このIgE抗体は異物の侵入を監視する役割をもち、次に花粉が侵入したときにはこれを察知し、ヒスタミン等の物質の放出を促します。その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ等、さまざまな不快な症状を引き起こすのです。
 つまり、花粉症というのは、この時季に飛散するスギやヒノキ等の花粉に対する抗体ができてしまうことで起こる〝過剰な抗体反応〟=〝アレルギー反応〟なのです。

そもそもアレルギーって、何なのでしょうか?

 ヒトの体にはもともと、〝免疫システム〟という機能が備わっています。このシステムによって、病気の原因となるウィルスや細菌等の抗原が体内に侵入すると、ヒトの体は抗原の侵入を察知する抗体を作ります。そして、同じウィルスや細菌が再び侵入してきた時には、この抗体が体の異物となる病原菌を排除し、体を守るための抗体反応が作動することで、病気の発症を水際で抑えたり、病気の悪化を防いだりする働きをしています。
 おたふく風邪や水疱瘡等、1度かかると2度かからない病気がありますが、これは抗原となるウィルス等に対して有効な抗体=免疫ができるからなのです。
ところが、時としてウィルスや細菌以外の特定の異物、たとえば花粉等、病原性のない特定の異物に対して抗体ができてしまい、それが過剰反応を起こすことで、体に不利で不快な症状を引き起こしてしまうことがあります。それがアレルギーなのです。
本来であれば、体を病気から守るための〝免疫システム〟なのですが、アレルギーは、花粉等の抗体ができてしまうことで、逆につらい症状をもたらすことになるのです。

免疫力を高めるには、どうすれば良いのでしょうか?

 ウィルスや細菌等の病原菌に対しては、それに負けない〝免疫システム〟が働かなければ意味がありません。ところがアレルギーは、病原菌以外の異物に対して過剰反応を起こすことで発症するものです。つまり〝免疫システム〟というものは、必要な時に必要なだけ働いてくれることが重要なのです。つまり、免疫力が高いとは、〝免疫システム〟が抗原の侵入に対して、的確に働いてくれることを意味します。体を守ることができないほど弱すぎては意味がありませんし、過敏に働けばアレルギーのような症状を起こしてしまうものなのです。
 的確に働いてくれる〝免疫システム〟を維持する基本となるのは、健康な体づくりです。
 近年になって花粉症等のアレルギーを発症する人が増えている背景には、過去の植林政策によるスギの木の増加し、さらに地球温暖化により花粉飛散量も増えたことが一因となっています。加えて、ディーゼル排気等による大気汚染等、生活環境の変化も指摘されています。また、ストレスや食生活の変化の影響等、さまざまな要因が組み合わさり症状を悪化させているのです。
 このような生活環境の中で体の健康を維持するためには、規則正しい生活とバランスのとれた食生活を心がけることが重要です。また、免疫を司るリンパ球の75%が腸内に集中していますので、腸内環境を常に整えておくことも大切ですし、IgE抗体が異物を待ち構えている細胞粘膜がダメージを受けないよう、刺激物の摂取や喫煙・飲酒を控える等の生活習慣の見直しも大切です。こうして日頃から〝免疫システム〟を向上させることが、アレルギー症状を緩和することつながります。
 花粉症は季節アレルギーですので、飛散時期が過ぎれば症状は出なくなりますが、気持ち良く春を迎えるために日々の生活習慣を見直して、アレルギーに負けない体づくりを実践してみましょう。

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